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【法務コラム】保険金の受取人、今のままで大丈夫ですか?

2018年12月03日

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■  保険金の受取人、今のままで大丈夫ですか?
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ご親族が亡くなり、遺品を整理しているときに、
受取人がすでに亡くなっている保険証書が出てくることがあります。
この場合、どなたが保険金の受取人になるのでしょうか。
生命保険の受取人が契約者より先に亡くなっていた場合、
約款で特別な定めがない限り、受取人の法定相続人が保険金を受け取ることができます。
ただし、受け取ることができる割合は法定相続分の割合ではなく、
法定相続人の人数で頭割りした均等な割合になります。(→ 注意点1)

ところが、かんぽ生命はかなり違います。
 かんぽ生命の死亡保険金受取人が契約者より先に亡くなっていた場合、
法律で、保険金を受け取ることができるのは、「受取人の相続人」ではなく、
「被保険者の遺族」とされています。
そして、被保険者の「遺族」とは、①配偶者、②子、③父母、④孫、⑤祖父母、⑥兄弟姉妹、
⑦被保険者の扶助によって生計を維持していた者、⑧被保険者の生計を扶助していた者、
だけに限られています。
そして、先順位者がいる場合は、後順位者は受け取ることができません。
例えば、被保険者に配偶者と子がいた場合、どちらも法定相続人ではありますが、
先順位者である配偶者だけが「遺族」として保険金を受け取ることができ、
子は受け取ることができません。(→ 注意点2)

また、相続のような代襲の規定もありませんので、
法定相続人であっても「遺族」に該当しない限り、保険金を受け取ることはできません。
例えば、被保険者の甥や姪は、代襲相続によって法定相続人になることがありますが、
①~⑥のいずれにも該当しないので、⑦や⑧といった特殊な事情がない限り「遺族」に該当せず、
保険金を受け取ることはできないのです。(→ 注意点3)

このように、生命保険については、受取人が亡くなっていると通常の相続とは違う結果になってしまいます。
特に、かんぽ生命は要注意です。 定期的に保険証書を確認し、必要に応じて受取人を変更しておくことをおすすめします。

(弁護士 翠川 洋)

※このコラムは2018年3月にメールマガジンで配信した内容と同一です。