メールマガジン2024年4月号

2024年10月07日

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◆◇◆ 官澤綜合法律事務所メールマガジン◆◇◆

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2024年4月25日

 

こんにちは、官澤綜合法律事務所です。

もうすぐゴールデンウイークですね。

当事務所はカレンダー通りの執務となります。

今年は飛び石連休の方、大型連休の方、お仕事で忙しいシーズンの方、いらっしゃると思いますが、今月のコラムの通り「注意1秒、怪我一生!」ですので気を付けてお過ごしください。

 

さて、メールマガジン2024年4月号をお届けします。

ぜひご一読ください!

 

◆目次◆————————————–

1、法務コラム 「3月4月は交通事故が多いってホント? 」弁護士 渡邊弘毅

2、「育成就労という制度」 弁護士 長尾浩行

3、5月8日法務セミナー開催のご案内

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■ 【法務コラム】

「3月4月は交通事故が多いってホント? 」

弁護士 渡邊弘毅

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以前にネットで「3月4月は交通事故が多い」という説を聞いたことがあります。

ホントですかね?

「オープンみやぎ」という宮城県のいろいろなデータが公表されているページから、エクセルデータを引っ張って調べてみました。

https://www.pref.miyagi.jp/site/opendata-miyagi/

R3年のデータですが、月別のデータを見たところ、

1.12月(441件)

2.10月(423件)

3.4月(404件)

となっています。…別に3月4月多くない…!

 

気を取り直してR3年のデータを…

1.12月(466件)

2.11月(444件)

3.10月(427件)

…やっぱり多くない!ネットの言説はあてになりませんね…。

この2年に限って言えば一番多いのは12月です。

まあ寒いし早く暗くなるし忘年会とかありますしね。

 

もっと衝撃的だったのは、年別の件数です。

平成25年に9851件だった事故発生件数が、令和4年には4117件になっています!

我々も、実感として、以前に比べて交通事故減ってるよなあ、とは思っていたのですが、平成25年の半分以下になっているとは予想外でした。

同様に死者も88人→37人、負傷者も1万2651人→4912人と大きく減少傾向です。

要因としては、一般的に車の安全性能の向上(衝突軽減ブレーキ等)が挙げられますが、ここまで効果あるんですね…。

テクノロジーの恩恵を感じます。

なお、死者数で見ると60歳以上の高齢者が54%を占め、全体の事故発生件数で見ると昼間が多いが、死亡事故は夜間が多い、など、データを眺めているといろいろ面白い傾向が見えてきます。

交通事故事件をやっていて思うのは「お金でいくら賠償を受けたとしても、失われた健康な身体(生命)は戻ってこない」ということです。

皆様くれぐれも交通事故にはお気を付けください!

以上

(弁護士 渡邊弘毅)

 

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■ 「育成就労という制度」     弁護士 長尾浩行

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先日の事務所セミナーでは育成就労という新しい制度についてお話をしました。

セミナーではお話しできなかった、その準備の過程で感じたことなどを書いてみたいと思います。

 

育成就労とは、現在ある技能実習制度に代わるものとして今国会で審議されているものです。

技能実習については近時いろいろとニュースなどで取り上げられることがあり、悪しき制度として批判されることが多く、印象に残っている方も多いかと思います。

技能実習がクローズアップされるようになったのはここ数年のことですが、技能実習という制度は実は30年以上の歴史があります。

技能実習制度はこの30年あまりの日本経済を支えてきたということができると思います。とりわけ若い人の人口が減って人手不足、労働力不足となった各産業分野では重要な労働力となっています。

さらにいえば低賃金の労働力が確保できるので、この30年あまりの日本のデフレと生産性が向上しないことの要因のひとつだったのではないかとも考えています。

技能実習制度の前身は外国人研修生の制度であり、建前としては海外からやって来た研修生あるいは技能実習生に対し技能を習得してもらい、母国へその技能や経験を持ち帰ってもらう、技能の移転のための制度である、ということになっています。

技能の移転といいながら現実に技能実習生が従事しているのは単純労働ではないかとか、30年前ならともかく今の日本にアジア諸国に移転するような技能がそもそもあるのかとか、さまざまなつっこみが可能なところです。

それはともかくとして、技能実習生は技能を持ち帰るために研修している、勉強している、という建前から労働者ではない、という扱いとなり、日本人の労働者であれば当然に認められる各種の労働者としての権利の多くが認められません。

待遇や条件に不満があっても転職(転籍と呼ばれます)が極めて困難なので、転職の自由は現実にはほぼありません。

もし技能実習を辞めてしまうと在留資格(いわゆるビザ)がなくなり、帰国するしかなくなります(あるいは失踪して、不法就労、不法滞在をすることにもなりえます)。

とはいえ技能実習生は日本に来るまでに現地のエージェントやブローカー、送出機関などに支払うために多額の借金をしているのが通常ですから、そもそも辞めるに辞められない状況にあります。

不満があっても転職も退職もできない点で権利侵害が起こりやすく、かつ、技能実習生は基本的に寮で生活して社会との接点が乏しいため、実情が外部に伝わりにくい構造もあります。

給料についてもほとんどの場合、それぞれの地域あるいは業界の最低賃金が支払われます。

母国へ技能や経験を持ち帰ってもらうための制度である、というのは建前で、現実には安い労働力を「輸入」するための制度であったということができます。

さらに不満があっても簡単には辞めないので、事業者としては使い勝手のいい労働力ということになります。

安定して安い労働力が確保できるとなると事業者としては生産性を向上させようという気運にならないでしょうし、賃金が安いままではデフレも続くことになります。

このように書いてくると技能実習というのはひどい制度だということになり、まさに「現代の奴隷制度」であるという批判もあたりそうです。

他方で、そのような欠点がありながらも30年間も制度として継続し、アジア諸国から数多くの技能実習生が来日しているのも事実です。

彼らは欠点だらけの技能実習制度であっても日本に来る、という選択をしたわけです。

アジア諸国の政府も、労働力輸出という政策を取り、外貨獲得の手段とするにあたり、日本の技能実習制度の欠点については黙認してきたのでしょう。

育成就労という制度を作ることで技能実習制度は廃止するとされています。

育成就労は人材を育成し、人材確保(つまり労働力の確保)を目的とするものであるとようやく明示されたのは評価すべき点だと思います。

技能移転のためというおかしな建前を捨てて、重要な労働力であることを明確に認識して、労働者としての権利を認めることで、日本で働くという選択をしてもらえることにつながる可能性はあると思います。

そうではなく、育成就労も技能実習と変わらず、安くて使い勝手のいい労働力を輸入することだと考えていると、もはや日本を選択してもらえなくなるでしょう。

以上

(弁護士 長尾浩行)

 

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■ 5月8日法務セミナー開催のご案内

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※開催は終了しました

【セミナー概要】

テーマ:『これだけは押さえよう!知らないと怖い商標法と不正競争防止法』

商標法と不正競争防止法についてのご相談は、当事務所にしばしば寄せられます。

また、基礎的な知識があれば避けられたのに、大事にならなかったのに、と思うことも多くあります。

本セミナーでは、商標法と不正競争防止法の基礎知識を具体例を交えてご説明するとともに、最新の事例・改正等についても可能な限り分かりやすく解説したいと思います。

講師:   渡邊 弘毅(弁護士)

日時:   2024年5月8日(水) 15:00~ 1時間程度

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■ あとがき

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メールマガジン配信担当 総務課のWです。

当事務所のメールマガジンをお読みくださり誠にありがとうございます。

内容はいかがでしたか?

内容についてのお問い合わせやご感想は当事務所までお気軽にお寄せください。

セミナーでじっくり聞いてみたいテーマやメルマガ法務コラムで取り上げてほしい、

ちょっとした法的な疑問などもぜひお知らせください!

 

最近私の弟が事故にあいました。

停車中に追突されたそうで、運転手は高齢の女性の方だったようです。

幸い弟には大きなけががなかったものの、追突した方の女性は骨折し同乗者は内臓損傷と大怪我を負ったようです。

地元は車以外に移動手段がない地域です。(ちなみにしっかり消滅可能性自治体に載っていました)

近所には商店街などもないので、海外から来て就労している方も真夏でも真冬でも2時間以上かけて歩いて買い物に出かけている姿をみかけます。

こういった地域こそ自動運転のようなテクノロジーによるサポートが必要だなと思います。

私は運転免許こそ持っていますが、とっさの判断力がイマイチなので、長年ペーパードライバーです。

安心安全でお手頃価格な自動運転車が出ないかな、と日々期待しながら生活しています。

 

今月のメルマガは以上です。

次回は5月27日頃配信予定ですのでお楽しみに!

 

「ここに相談にきて良かったと思ってもらえる事務所」をモットーに、

笑顔で迅速かつ良質なサービスを心がけておりますので、

何かお悩みのことがあればお気軽に御相談戴ければと思います。