コラム

【法務コラム】その弁償、保険が使えるかも?!

2021年10月11日

例えば、お子さんが学校の吹奏楽部で練習中、うっかり譜面台を倒してお友達の大事なフルートをへこませてしまった場合、修理代を弁償しなくてはなりません。
法律的に言えば、過失による場合であっても不法行為が成立しますから(民法709条)、加害者(あるいは両親)には損害賠償の義務が生じます。
自動車で交通事故を起こしたときと考え方は同じです。

ところで、自動車で事故を起こしたときの弁償は「保険で」と思いつきますが、お子さんがフルートをへこませた「事故」のときも保険が使えるでしょうか。

「個人損害賠償保険」に加入していれば、多くの場合で保険が使えます。
そして、この保険は自動車保険のオプションとして、月200円程度で付加されていることが少なくありません。
また、ご自宅の火災保険の特約として付加されていることもあります。

先ほどのフルートの件だけでなく、飼い犬が他人にかみついて怪我をさせてしまった場合やお子さんがボール遊びをしてよその家のガラスを割ってしまった場合、
通学中に自転車で歩行者に衝突して怪我をさせてしまった場合などにも、基本的にはこの保険や特約が使えます。

特に、自転車での事故の場合、自転車を運転していた加害者に巨額の損害賠償が命じられたケースが報道されています。
自治体によっては、自転車保険への強制加入を定めているところもあります。

実は、この自転車保険についても、新たに加入するまでもなく、すでに自動車保険や火災保険の個人損害賠償特約でまかなえていることがよくあります。

せっかく保険料を支払っているのに使える保険を見落としていませんか?
また、同じ保険をダブってかけていませんか?
この機会にご自分の自動車保険や火災保険の内容をご確認下さい。
 

(弁護士 翠川洋)
※この記事は2020年1月に当事務所メールマガジンにて配信した記事と同一です。