コラム
【法務コラム】成年後見と自宅売却
2020年10月28日
「親が介護施設に入ったので実家を売りたいのですが、成年後見が必要と言われました。」という相談を受けるときがあります。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などが理由で判断能力の不十分な方を支援する制度です。
介護施設にもいろいろありますから、介護施設に入った=判断能力不十分とは言えませんが、認知症があり、ある程度症状が進んでいる場合には、成年後見制度が必要となるでしょう。
成年後見制度には法定後見と任意後見がありますが、ご本人が既に判断能力が欠いている、判断能力が著しく不十分な状態にある場合は、法定後見の利用を要するでしょう。
法定後見は、親族等が家庭裁判所に申し立てをし、家庭裁判所が成年後見人等を選任して開始します。成年後見人等には代理権や取消権があり、ご本人を巡る様々な法律行為に関わることで、ご本人を支援していきます。
誰が成年後見人等に選任されるかですが、平成30年、親族以外の第三者(弁護士や社会福祉士など)が選任された割合は約76.8%でした。
実家の売却は、選任された成年後見人等が進めることになりますが、居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可を要します。なお、現在は空き家でも、今後、居住の用に供する見込みがある場合、過去にご本人の生活の本拠としての実態があった場合は、「居住用」不動産となります。
許可申立においては、売却条件の相当性のみならず、ご本人の生活や心身の状態、売却の必要性(たとえば、今後のご本人の介護費用や生活費を捻出するために売却が必要といった事情)などを裁判所に説明することを要します。
以上